施術をお断りさせて頂く場合もあります。
美容室に来る時は「お悩みを解消する為」や「希望を叶える為」ご来店されます。
特に御新規のお客様は「何かしらお悩みを解消」したいと思ってご来店される方がほとんどです。
美容室では1人1人にあったカット方法や薬剤、機械等を使って理想のヘアスタイルを目指していくのですが、ヘアスタイルの仕上がりにとても密接に関わる条件があります。
お客様の髪質や骨格はもちろん重要ですが、もっと大切な事があります。
それは施術履歴と髪のコンディション(ダメージ)です。
いわゆる、バージン毛(くせ毛やストレート等、髪質は関係なく)の「体力」が100ポイントだとします。
カラーやパーマや縮毛矯正やヘアアイロン、紫外線などで髪の「体力」は減っていきます。
「体力」が減ってくると出来る施術、使える薬剤の施術の幅が狭くなっていきます。
簡単に説明すると薬剤や施術に耐えられない状態になります。
別の言い方をすると、施術する事はできるけど求めている仕上がりにはならない可能性があります。
また施術履歴に関しては相性の良くないメニューもあります。
(黒染め履歴がある方に明るめヘアカラーや縮毛矯正毛にパーマ等)
初めての縮毛矯正はとてもキレイだったのに回数を重ねる毎にパサつきが出てきたり、カラーの色持ちが悪くなってきたり等の経験がある方もいるかもしれません。
つまり「体力」が少なくなってくると理想の仕上がりに近づける事が難しくなります。
体力ポイントが少ない状態で薬剤を使った施術をする事はリスクが大きく、応急処置のような施術になる為、思ったような仕上がりにするのは難しくなります。
特に今まで他店に通っていて初めて担当させて頂く場合は、どんな薬剤を使ってどんな施術をしているかが把握できない事があります。
施術する事によって、現在より髪のコンディションが悪くなる場合もあるので慎重なカウンセリングと毛髪診断や見極めが必要です。
ポイント
またトリートメントをしても髪が治るわけではなく、擬似的に髪のコンディションを良く見せるための施術なので一度傷んだ髪を治す方法は現在はまだありません。
もちろん、美容師として常にお客様にキレイになって喜んで頂きたい気持ちはあるので「何とかできないか?」と最善は尽くします。
しかし髪の状態を考えて「施術をするメリットよりもデメリットが大きい」場合は「施術しないほうがいい=お断りする」事がお客様の為になると考えています。
せっかくキレイになれると期待してご来店して頂いたのに、お断りする事は美容師としてとても心苦しいものですし、お客様も残念な気持ちになると思います。
そうならない為に・・・・
ポイント
美容師側は「髪の体力」をできる限り残せるような薬剤選定や施術方法でヘアスタイルを作り、お客様の大切な髪を任せて頂いている事に責任を持つ事。
お客様は、髪に負担をかけない普段のスタイリングやヘアケアを心がけ、セルフでのヘアカラー等を避けて、なるべく「髪の体力」を残す事。
この2つどちらが欠けても「髪の体力」は減っていきます。
ずっとオシャレを楽しむ為にも「美容師」と「お客様」がお互いに協力しながら素敵なヘアスタイルを作っていく関係性が大切だと考えております。
美容室と美容師の数だけ価値観やコンセプトがあります。
お客様も全員が同じ価値観ではないので「お客様自身の価値観や考え方にあった美容室、美容師さんに担当してもらう事が理想のヘアスタイルに近づく方法ではないか?」と考えています。
髪の体力という考え方を知っておくことでリスクを減らして、オシャレを楽しんで頂く為の参考になれば幸いです。